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2009年10月19日月曜日

海辺のカフカの批判本


小森陽一村上春樹論-海辺のカフカを精読する」(平凡社新書読了評論ではなく批判である。あのマンガ雑誌のような造本の「少年カフカ」も槍玉に上っている。確かにあれは、膨大な量のオベンチャラ集であった。
まずオイディプス神話との対比。これはわかりやすい。ただフロイト解釈は好きではない。甲村図書館カフカ少年が読んだ本が取り上げられる。これらが非常に重要意味を持っていると語る。「千夜一夜物語」の骨格が、処女を毎夜同衾し一夜限りで殺したという前提だったとは知らなかった。そしてカフカ流刑地にて」の処刑機械も恐ろしい。「坑夫」はほかの漱石小説と違ってノンフィクション小説だとしか読んでいなかったが、もっと精神分析的な理解が必要だったようだ。これをカフカ少年の理解は浅く思考停止してしまう。さらに「虞美人草」は女性嫌悪による処刑小説だと説く。この女性嫌悪というのが小森氏の重要な指摘である。
最後に天皇戦争責任のごまかしが強く語られ、それ同類のごまかしがこの本にはあると言う。団塊世代の欺瞞にも言及し小気味が良い。結局、この本を読んで「癒し」を感じさせる作者のペテンにはまるな、という警告である。まさに渾身の批判本である。

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