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2009年10月8日木曜日

日本の歴史をよみなおす


網野善彦日本の歴史をよみなおす(全)」は名著だ。

中でも「百姓は農民ではない」は衝撃的だ。これまでの常識を覆し、あらゆる歴史的論考の見直しを迫る。儒教思想と密着した農本主義が僕らの発想を狭めていた。室町戦国の頃の一時期重商主義が台頭してきたが、それも織豊期に重農に戻り、そのまま現代に至る。

もうひとつは、飢饉は農村ではなく都市から起きるというもの。食料不足は、非農業中心の都市的社会に対して食料高騰という結果を招き、飢饉が発生する。なるほど。

倭から日本に変わったのは7世紀後半から8世紀初頭、つまり聖徳太子は「日本人」ではない。そうか。「天皇」が定着したのは、天武・持統からでしかない。ふむふむ。

重農主義についてよく考えてみたい。とにかく田んぼを中心に管理するという政策上、所有する田が少なければ貧農としか認識できないが、実はその人たちが廻船人、商人、職能民である可能性がある。彼らが日本の歴史の表舞台には出ない。まさに目からウロコだ。そういえば日本昔話などで登場する人々には、公家武士、商工民、農民だけではない。もっとバラエティに富んでいるような気がする。民俗学の見地というのは従来の発想を覆す。再読必須。

もうひとつ、今日はおもしろい人の存在を知った。佐々井秀嶺という。彼について調べてみたい。

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